スナップアップ投資顧問

「設立憲章」1997年12月7日採択 / 神奈川

湘南に誘致の地球環境戦略研究機関

(1997年11月28日、朝日新聞)

「地球環境戦略研究機関」の設立憲章
「湘南国際村」(横須賀市、葉山町)に計画

環境庁が「湘南国際村」(横須賀市、葉山町)に計画している「地球環境戦略研究機関」の設立憲章が1997年12月7日に京都市で開かれる国際会議で採択されることになった。この会議は12月1日から始まる気候変動枠組み条約第三回締約国会議(温暖化防止京都会議)に合わせて開かれ、各国の政府機関や国際研究機関などの代表者が参加する。憲章採択で、地球環境戦略研究機関の1998年4月設立への動きが本格化し、条約に基づく国際機関への移行の第一歩となる。

アジア太平洋地域の地球環境研究の拠点へ
地球規模の環境問題を解決

地球環境戦略研究機関は、世界の第一線の研究者、行政官、NGOなどが参加、地球規模の環境問題を解決するための具体的な政策や合意形成の方法、社会システムの構築など実践的な研究を行い、アジア太平洋地域の地球環境研究の拠点を目指す。具体的には、社会経済システムなどの違いから各国の足並みが乱れている地球温暖化対策の問題点とその解決策や、中国内陸部の大気汚染対策における先進国からの技術導入問題などが研究テーマとなる。

財団法人の形で運営
神奈川県が出資

当初は研究者40人、事業費年10億円規模で発足、神奈川県が出資、国が事業費を負担する財団法人の形で運営され、将来的には民間の協力も募り、独立した国際機関にしたい考え。約10年後には研究者200人、事業費年4、50億円にする計画だ。研究スタッフの約半数は外国人で、日本語と英語が公用語になる。

21世紀地球環境懇話会
湘南国際村立地

設立構想は1995年、村山富市首相(当時)の私的諮問機関「21世紀地球環境懇話会」の提言をきっかけに浮上。全国で約30の自治体が誘致に名乗りをあげ、1997年1月に湘南国際村立地が決まった。4月には県が約2億円を出資して設立準備機構ができ、環境庁と県が中心となって準備を進めている。

みんなの地球「環境教室]~温暖化を考える

第1回 温暖化特集

(1998年2月25日、読売新聞)

21世紀は環境の世紀
環境問題をわかりやすく説明

21世紀は環境の世紀といわれる。温暖化をはじめオゾン層の破壊、熱帯林の減少など地球全体がおかしくなってきている。身のまわりを見ても、ごみや自然破壊がある。こうした課題に立ち向かうために、私たちは今、何を考え、何をしなければならないのか。1998年1年、毎月1回のペースで、合計10回、写真や図をたくさん使って環境問題を分かりやすく説明する。

第1回は温暖化についての特集である。

気温上昇暴走の恐怖
東京大学の柳沢幸雄・寄付講座教授

温暖化が進むとどうなるだろうか。東京大学の柳沢幸雄・寄付講座教授(地球環境工学)は「地球が暴走してしまう可能性がある」と心配している。このままだと、ある時点で人間の手におえなくなって、生き物が生存できないほど気温が上がってしまうおそれがあるから「暴走」なのだという。

温室効果ガス
CO2濃度の変化

温暖化は温室効果ガスが原因だ。中でも石油や石炭を大量に燃やすために出てくる二酸化炭素(CO2)の影響が大きい。CO2は地球から宇宙に出ていく熱の一部を吸収し、暖かさを逃さない役目をしている。だから、地球は月や火星のように寒くなりすぎない。しかし、CO2が多すぎると熱をよぶんに吸収してしまい、温暖化の原因になる。古代からのCO2濃度の変化は、南極の氷を調べるとわかる。大気中のCO2の濃度は18世紀末の産業革命までは約280ppmだった。しかし、産業が盛んになるとともに増え、いまは約360ppm。毎年1.6ppmずつ増えていて、単純計算でも21世紀末には産業革命前の倍になる。

実際は厳しい

実際はもっと厳しくなりそうだ。人間は豊かさを求めるから、石油や石炭をもっと使うようになり、CO2も増える。世界人口も増える。そうなると、地球全体の気候が変わり、干ばつや水害のため世界的に食糧が足りなくなる。また海面が上がり、伝染病が広がる。

メタンやCO2
シベリアの凍土(ツンドラ)

「暴走」すると、もっとひどいことになる。氷河期と今では平均気温が4度か5度しか違わない。もし3度も4度も気温が上がれば、シベリアの凍土(ツンドラ)がシャーベットのようになり、中に閉じ込められている大量のメタンが空中に出てくるだろう。そのメタンが温暖化をもっとおし進め、凍土や海の中に閉じ込められているメタンやCO2が次々と出てきてしまったら……。

地球が「暴走」

石油や石炭を使い切ってしまえば、温暖化はなくなるかもしれない。でもその前に地球が「暴走」してしまうのがこわい。

暴走は最悪の場合
本気にならないと危険

「暴走は最悪の場合です。しかし、いま世界で行われている対策では不十分。みんなが本気にならないと危険だと思う」。柳沢先生はそう警告する。

動植物が北へ大移動
気候に合わせて分布

日本では、一年間に平均1,600ミリを超える雨がふる。日本は雨が多く、しかも四季の移り変わりがはっきりとしている。生き物を支える植物たちも、こうした気候に合わせて分布している。

温暖化が進む
日本各地の気温が上昇

この分布を決めているのが気温だ。温暖化が進むと日本各地の気温も上がり、植物が北の方に移動したり、高い所へ移っていくという。

宮崎公立大の内島善兵衛学長
アメリカのゴダート宇宙科学研究所の予測

宮崎公立大の内島善兵衛学長はアメリカのゴダート宇宙科学研究所の予測をもとに、将来の日本の植物の分布の変化を計算した。ゴダート研究所では、21世紀末の大気中のCO2の濃度はいまの二倍となり、地球全体の平均気温が3-4度上がる、と予測している。

ブナなどの落葉広葉樹
東北地方の北部

関東の山ろくにまで広がっていたブナなど落葉広葉樹は東北地方の北部から北海道に移る。代わりに、九州の南部に分布していたスダジイなどの南部暖温帯林が関東地方にまで広がる。

温暖化のスピード
追いつけない植物は絶滅

しかし、実際に植物が予測のように分布するようになるかはまだ分からない。内島学長は「森林が10年間で40-50キロの速さで北に移っていかなければ、温暖化のスピードにはついていけない。でも、植物は種子を飛ばすことを繰り返して移動するので、むりかもしれない」と言う。追いつけない植物は絶滅してしまう。すると種をまいたり苗木を植えたりすることが必要になるだろう。

野生生物も移動
温暖化は植動物に大きな打撃

森林は野生生物の生きる場所なので、植物とともに野生生物も移動しなければならない。だが、その途中で町や道路などがあれば移動できなくなる。温暖化は植物にも動物にも大きな打撃を与えるのだ。

海面上がり国土が沈む
バングラデシュの洪水

インドのとなりのバングラデシュは毎年のように洪水に襲われている。バングラデシュで気温が2度上がると海面が30センチ上昇する。すると、山がなく平らな沿岸地域のほとんどの田んぼや畑が海になってしまう。

太平洋に浮かぶ島々
サンゴ礁

太平洋に浮かぶ島々も同じように、海の中に沈んでしまう危機に直面している。サンゴ礁でできているので最高地点が4メートル、5メートルという島が多い。そこで1メートルも海面が上昇すれば、高潮や台風の時には島のどこにいても波に洗われてしまうことになる。もちろん生活はできなくなる。

バングラデシュや太平洋の島国
温暖化の原因となるCO2やメタン

ここでちょっと考えなくてはいけないことがある。バングラデシュや太平洋の島国は温暖化の原因となるCO2やメタンなどをほとんど出していないということだ。乗用車も少なく、暑くてもクーラーなんか使わない。

温暖化の原因は先進工業国

温暖化の原因を作っているのは日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進工業国なのだ。それなのに、先進国はあまり被害がなく、静かに暮らしていた人たちがつらい目にあわなくてはいけない。そのことを私たちはしっかりと知っておくべきだ。

沿岸の9割近くの砂浜は消滅
東京都のゼロメートル地帯

もちろん日本も被害をうける。海面が1メートル上がれば、沿岸の9割近くの砂浜は消滅してしまう。東京都のゼロメートル地帯も水没の危機にさらされる。だが、日本はきっと100年の間に大がかりな対策をとるだろうし、できる。

途上国の多く

それに対し、途上国の多くは何もできないまま沈んでいかなくてはならない。

「乗用車お断り」
独フライブルク

ドイツ南部の美しい町、フライブルク。環境をとても大事にしている町として世界に知られている。

メーンストリート「ヨーゼフ王通り」
フライブルクの市電

石畳のメーンストリート「ヨーゼフ王通り」の真ん中をぶらぶら歩いていると後ろで急に大きなクラクションが鳴った。

フォアン、フォアン。

びっくりして振りかえると、市電だ。フロントガラスがすぐ目の前にあった。もう少しでひかれるところだった。

町の静けさ

町の静けさに慣れきって安心していたのが、いけなかった。買い物にきている家族連れの楽しそうな話し声が、通りの反対側にいても聞こえるほどだ。市電もゆっくりと静かに走っている。

乗用車立ち入り禁止
排ガスや騒音

この町では、自動車の出す排ガスや騒音を減らすために、町の中心部の半径1.5キロほどの場所はふつうの乗用車が入れないようになっている。その代わりに市電やバス、自転車がよく使われている。

太陽エネルギーだけを使った家
ごみのリサイクル

そのほか、太陽エネルギーだけを使った家を作ったり、ごみをできるだけリサイクルするように心がけている。町の人みんなが環境を良くするための実験に取り組んでいるのだ。

中心街でも空気がきれい

中心街でも空気がきれいで、自動車を気にすることなく観光や買い物が楽しめる。

人口20万人ほどの町
フライブルク大学

人口20万人ほどの町だが、すごく落ち着いた雰囲気だ。高層ビルや新幹線がなくても豊かな感じ。16世紀に完成したという大聖堂がどこからも見える。フライブルク大学は500年以上の歴史がある。しかしインターネットやハイテクは進んでいる。

21世紀の新しい町

21世紀の新しい町ってこういうところかな。日本にもこんな町がほしい。歩きながらだんだんそんな気持ちが強くなってきた。

子供も大人も力を合わせて「環境教育」の大切さ
地球の環境危機を乗り切るために

温暖化をはじめ、地球の環境危機を乗り切っていくにはどうすればいいのだろうか。まず私たちの地球がどのような状態になっているのか、それを知ることから始まる。

やさしい環境教育

小学校でも中学、高校でも、そして大学でも環境をやさしく教えてほしい。学校以外でも家庭で、市民グループで、会社で楽しく参加できないだろうか。

地球環境戦略研究機関(IGES)
埼玉大学助教授の阿部治先生

環境庁が神奈川県・湘南国際村に1998年4月に作る地球環境戦略研究機関(IGES)でも重要な研究テーマとして環境教育をあげている。そのプロジェクトリーダーで埼玉大学助教授の阿部治先生はこう話す。

環境破壊という人類共通の敵
一人一人が少し考える

「環境破壊という人類共通の敵に対抗するためには、こどもも大人も力を合わせて闘う必要があります。みんなで頑張らないと負けてしまう。一人一人が少し考え、まず一歩を踏み出すことから始まります」

作家 C・W・ニコルさんインタビュー
自然と遊ばないとひきょうものになる

こどもはだれでも自然の中で遊びなさい。自然の中で遊ばない子は自分勝手で、おうへいで、ひきょうものになる。

小さな自然と友だちに
東京でも大阪でも

東京でも大阪でもどんな大きな都会にも自然はある。池の金魚と遊んでもいいんだ。公園で木登りしてもいい。地面をよく見ればいろいろな虫がいるよ。どこにでもある小さな自然と友だちになって、遊ぼう。

日本のこどもは自然がきらい?
自然が話してくれることを聞く

日本のこどもは自然がきらいなのかな。もっともっと自然の中に入っていって、自然が話してくれることを聞いてみよう。それを友だちやお父さんやお母さんに話してみよう。

こどもの時に自然と遊ばない子

こどもの時に自然と遊ばない子は何か変だ。そういう子が大人になってもぼくはきっと付き合わないよ。

できること、あなたにも
環境を良くするために

地球の温暖化は私たちの毎日の生活が原因となっている。何も考えずに、豊かで便利な生活を楽しめば、それだけ地球は傷ついてしまう。ならば、環境を良くするためには、一人一人が注意深く生活するようにすればいい。

自分に何ができるか、考えてみる

まず、自分に何ができるか、考えてみる。電気のスイッチをちゃんと切る。食べ物を残さない。自動車にあまり乗らない。自転車に乗る。環境保護の活動に参加する。

国全体でできること
温暖化防止法

次に、国全体でできることは何か。温暖化防止法を作り、環境税を取り入れる。リサイクルを進める。

世界全体での取り組み
国境を越えた協力が必要

世界全体でも取り組まなければいけない。地球の北にある先進国は豊かだが、南の発展途上国はひどく貧しい。食べ物がなくて死んでしまうこどもたちもたくさんいる。国境を越えた協力が必要だ。こうした問題をしっかりと分かったうえで、だれもが納得できる方法を作りだしたい。

新しい生活のルール、哲学
環境問題という新しい課題

人間は古代から長い間生きてきた。しかし、私たちは今、環境問題というまったく新しい課題にぶつかっている。この問題を解決し、これからも長く生存していくためには、新しい生活のルール、哲学が必要だ。

自然を残す
むだなエネルギーを使わない

動物たちと仲良く生きる。これから生まれてくるこどもたちのために自然を残しておく。貧しい国の人や身体の弱い人をいたわりながら生活する。むだなエネルギーを使わない。ほかにもいろいろありそうだ。

環境問題と21世紀の生活
将来の私たちの姿

21世紀にはどんな生活がよいのだろうか。環境問題を考えながら、将来の私たちの姿を想像してみよう。

温室効果ガス
地球をベールのように包み、温室のような役割をするガスのこと。温暖化の原因になる。二酸化炭素(CO2)、メタン、亜酸化窒素、代替フロン類(六フッ化硫黄、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン)の6種類が規制対象。
ppm
ある物質が全体の100万分のいくつか、という量を表す。環境問題では水質や大気の汚染の濃度などによく使われる。縦、横、深さが1メートルの水槽に1センチ角の角砂糖を溶かすと、砂糖の濃度が1ppm。もっと少ない量を表すにはppb(10億分の1)がある。
温暖化防止法
1997年12月に京都で開かれた気候変動枠組み条約(温暖化防止条約)の第3回締約国会議(COP3)で、温室効果ガスの規制が決まった。それを実行するためにはそれぞれの国が法律を作る必要がある。今、環境庁がこの法律の準備をしている。

温暖化対策の投資信託とは

(2007年8月10日)

風力発電など再生可能エネルギーの開発や自動車の省エネといった地球温暖化対策を進めている企業の株式を運用対象にした投資信託が、相次いで発売されている。7月には野村証券と新光投信が新投信を設定・販売。日興コーディアル証券も2000億円規模を目指す大型投信を今月20日に売り出す。温暖化問題は来年の洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の主要テーマで、各社は投資家の関心を引きつけやすいとみており、“エコファンドブーム”は当面続きそうだ。

地球に優しい投信、「温暖化対策」株で運用 新商品相次ぐ

野村證券

野村証券の投信「DWS地球温暖化対策関連株投信」は、風力発電や省エネのシステム開発など環境技術に優れた企業の株式などに投資する商品で、1540億円の資金が集まった(募集は終了)。新光投信の「地球温暖化防止関連株ファンド・地球力2」は、ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド技術で世界トップのトヨタ自動車や化石燃料の使用効率を高める技術を持つ企業などが投資対象。日興の「UBS地球温暖化対応関連株ファンド・クールアース」は、地熱発電で名高い米オーマット・テクノロジーの株式などに投資する。

エコファンド

日本での事実上の環境ファンド第1号は、99年発売の「日興エコファンド」。大和ファンド・コンサルティングの調べでは、今年6月末時点で25本あり、資産残高は計約5000億円に上る。従来のエコファンドはゴミの分別や室温管理など環境対応が優れた企業の株式に投資するものが多かったが、最近は実際に環境ビジネスを行う企業の株式を対象にしているケースが多い。

新光証券

新光証券グループの新光投信は「世界的課題である温暖化防止の技術をもつ企業は収益も高い、という考えが基本にある」と話す。実際に環境技術に優れた企業を選別して投資していることが、投資家の人気を集める結果につながっているようだ。

大和証券

大和証券系列の大和ファンド・コンサルティングの広瀬明徳・ファンド調査部長は「一般の投資家にはよい投資機会になるが、一つのテーマに絞った投信は幅広い銘柄に投資するものよりリスクもある」と指摘。「(金もうけのためか、地球環境問題に貢献したいのか)購入の目的をはっきりさせてから投資すべきだ」と話している。