証券投資委員会(SIB)

SIBは、シティーの伝統に基づく「十戒」を定めている。その10項目の倫理規定の筆頭に、高潔で公正な取引がうたわれている。「会員は、高潔で公正な取引についての高い規律を遵守(じゅんしゅ)しなければならない」とする。

シティーの金融、証券取引には、政府の規制や干渉を排除し、業界が自主的に運営、規制してきた伝統がある。証券市場の大改革の「ビック・バン」に向けた1986年の金融サービス法でも、この自主規制の伝統は維持・強化された。

SFA

証券・先物委員会(SFA)は会員免許の停止や免許の取り消しの権限を持っている。免許取り消しはシティーから事実上追放されることを意味する。

SFAや前身のTSAでは最近、免許の停止・取り消しに発展した事件はない。しかし、SFAの幹部は「米国のSECのような公権力によるのではなく、厳しい自主規制のほうがシティーの伝統に合っている」と自信を示す。

株価操作や損失補償でギネス会長が実刑判決

一方、不公正取引や株価操作は、法的に罰せられる。1986年に起きたギネス事件が有名だ。企業買収にからむ株価操作や損失補償、虚偽会計などで、1990年秋、ギネス社の元会長らが実刑判決を受けた。審理が現在続いているブルーアロー事件では、インサイダー取引などが問われている。